ABOUT LAST FULL MEASURE
ラスト・フル・メジャーの由来
エイブラハム・リンカーンが行ったアメリカの歴史において、
最も有名な演説の一つとされるゲティスバーグ演説の中にその一節がある。
—Abraham Lincoln
今われわれは、一大内戦のさなかにあり、戦うことにより、自由の精神をはぐくみ、自由の心情にささげられたこの国家が、或いは、このようなあらゆる国家が、長く存続することは可能なのかどうかを試しているわけである。われわれはそのような戦争に一大激戦の地で、相会している。われわれはこの国家が生き永らえるようにと、ここで生命を捧げた人々の最後の安息の場所として、この戦場の一部をささげるためにやって来た。われわれがそうすることは、まことに適切であり好ましいことである。 しかし、さらに大きな意味で、われわれは、この土地をささげることはできない。清めささげることもできない。聖別することもできない。足すことも引くこともできない、われわれの貧弱な力をはるかに超越し、生き残った者、戦死した者とを問わず、ここで闘った勇敢な人々がすでに、この土地を清めささげているからである。世界は、われわれがここで述べることに、さして注意を払わず、長く記憶にとどめることもないだろう。しかし、彼らがここで成した事を決して忘れ去ることはできない。ここで戦った人々が気高くもここまで勇敢に推し進めてきた未完の事業にここでささげるべきは、むしろ生きているわれわれなのである。われわれの目の前に残された偉大な事業にここで身をささげるべきは、むしろわれわれ自身なのである。―それは、名誉ある戦死者たちが、最後の全力を尽くして身命をささげた偉大な大義に対して、彼らの後を受け継いで、われわれが一層の献身を決意することであり、これらの戦死者の死を決して無駄にしないために、この国に神の下で自由の新しい誕生を迎えさせるために、そして、人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために、われわれがここで固く決意することである。
—エイブラハム・リンカーン
INTRODUCTION
1966年4月11日の救出作戦で、戦線から発つ最後のヘリコプターで脱出するチャンスがあったにも関わらず、ピッツェンバーガーは残された兵士たちを救うために留まった。激戦の最前線で弾丸を浴びて、仲間たちのために自らの命を犠牲にした。この英雄たる行いを評して、ピッツェンバーガーは一兵士が授かれる最高位の勲章である「名誉勲章」を推薦された。この勲章は、義務を超えた個人の勇敢な行為に対して与えられる。しかし、彼への名誉勲章授与は却下されてしまう。 なぜ、名誉勲章は授与されなかったのか。
なぜ、30年以上もの間、戦友たちは英雄への名誉勲章授与を求め続けたのか。
1999年、30年の時を経て、ペンタゴンのエリート職員スコット・ハフマンが調査を担当することになり、その真実に迫る。
主人公スコット・ハフマンを演じるのはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)においてキャプテン・アメリカの親友バッキー・バーンズ役で人気のセバスチャン・スタン。共演には、『人生はビギナーズ』(10)でアカデミー賞®助演男優賞受賞のクリストファー・プラマー、『蜘蛛女のキス』(85)でアカデミー賞®主演男優賞受賞のウィリアム・ハートらを筆頭に、MCUでニック・フューリー役として重要な役どころを担っているサミュエル・L・ジャクソン、『アポロ13』(95)でアカデミー賞®助演男優賞ノミネートのエド・ハリス、そして、『イージー・ライダー』以来、アメリカを体現してきたレジェンド俳優ピーター・フォンダにとって最後の出演作品となった。
STORY
戦後、ピッツェンバーガーの両親と戦友タリーは、彼の功績は、名誉勲章授与にふさわしいと何度も軍に働きかけるも却下され、彼の武勲は叶わないままだった。
はじめは気乗りしないハフマンだったが、歴史に埋もれた英雄を知る退役軍人たちの証言を求めてアメリカ各地からベトナムのハノイまで調査を進める。やがて、ピッツェンバーガーの並外れた勇気ある行動を知るに及んで、大きく心を動かされる。そして、彼に名誉勲章が授与されなかった背景に驚くべき陰謀が隠されていたことに気がつくのだった…。CAST
8歳の時にウィーンに移り、12歳でニューヨークに移住する。ラットガーズ大学メイソン・グロス・スクール・オブ・ジ・アーツや英ロンドンのシェイクスピアズ・グローブで演技を学び、2003年にテレビドラマ「LAW & ORDER ロー&オーダー」でデビュー。その後、「ゴシップガール」(07~11)に出演して人気を博す。マーベル・シネマティック・ユニバースの『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(14)、続編『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』(16)ではウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ役を演じた。その他には『レイチェルの結婚』(08)、『ブラック・スワン』(10)、『オデッセイ』(15)、『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)などに出演。本作は自身初の主演映画である。
ニューヨークのジュリアード音楽院で演技を学び、舞台で高い評価を得る。『アルタード・ステーツ 未知への挑戦』(80)で主演として映画デビュー。『蜘蛛女のキス』(85)ではアカデミー賞®主演男優賞、カンヌ国際映画祭男優賞などを受賞した。『愛は静けさの中に』(86)と『ブロードキャスト・ニュース』(87)でもアカデミー賞®主演男優賞にノミネートされ、クローネンバーグ監督の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)ではアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされた。他にはヴィム・ヴェンダース監督の『夢の涯てまでも』(91)、アンソニー・ミンゲラ監督の『最高の恋人』(93)、『シリアナ』(05)、『グッド・シェパード』(06)などがある。『インクレディブル・ハルク』(08)にサディアス・ロス将軍役で初登場し、『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』(16)や『アベンジャーズ エンドゲーム』(19)などの作品にも同役で参加している。
演劇の世界からキャリアをスタートさせ、54年にブロードウェイデビュー。58年から上演された「J.B.」トニー賞にノミネートされ、74年には「シラノ」で、トニー賞ミュージカル主演男優賞を受賞した。映画ではミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』(65)のフォン・トラップ大佐役で一躍有名になる。その後は『ある日どこかで』(80)、『マルコムX』(92)、『12モンキーズ』(95)、『ビューティフル・マインド』(01)、『シリアナ』(05)、「ドラゴン・タトゥーの女」(11)などに出演。『終着駅 トルストイ最後の旅』(09)ではアカデミー賞®主演男優賞に初めてノミネート。『人生はビギナーズ』(10)では史上最高齢の82歳で助演男優賞を受賞した。
オクラホマ大学、カリフォルニア芸術大学で演技を学ぶ。78年の『コーマ』で映画デビュー。ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイトライダーズ』(81)で初主演、『ライトスタッフ』(83)、『ジャックナイフ』(89)、、『ザ・ロック』(96)などに出演して人気を博す。『アポロ13』(95)と『トゥルーマン・ショー』(98)、『めぐりあう時間たち』(02)では、アカデミー賞®助演男優賞にノミネート、監督デビュー作である『ポロック 2人だけのアトリエ』(00)では主演も務め、アカデミー賞®主演男優賞に初ノミネートされた。ほかには『ビューティフル・マインド』(01)、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)などがあり、トッド・ロビンソン監督作『ファントム/開戦前夜』(13)では主演を務めた。妻は『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)で共演した女優のエイミー・マディガンで、本作ではピーター・フォンダ演じるジミー・バーの妻役で出演している。
アトランタのモアハウス大学卒業。『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)などスパイク・リー監督作品の常連となり、『ジャングル・フィーバー』(91)ではカンヌ国際映画祭の助演男優賞を受賞した。クエンティン・タランティーノ監督にも重宝され、『パルプ・フィクション』(94)ではアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされた。他には『スター・ウォーズ』エピソード1~3(99~05)のメイス・ウインドゥ役、マーベル・シネマティック・ユニバースのニック・フューリー役など大作シリーズに出演。ほかには『ジュラシック・パーク』(93)、『ダイ・ハード3』(95)、『ジャッキー・ブラウン』(97)、『英雄の条件』(00)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)、『ヘイトフル・エイト』(15)、『ミスター・ガラス』(19)など。
父親はヘンリー・フォンダ、姉はジェーン・フォンダ、娘はブリジット・フォンダ。ネブラスカ大学オマハ校で演技を学び、卒業後ブロードウェイに進出。その後ロジャー・コーマンに声をかけられ、『ワイルド・エンジェル』(66)で主演を務め、翌67年の『白昼の幻想』でデニス・ホッパーとジャック・ニコルソンと出会う。69年にはデニス・ホッパー監督の『イージー・ライダー』で製作・脚本・主演を務め、アメリカン・ニューシネマの旗手となった。79年には監督・主演作『グランドキャニオンの黄金』で父ヘンリーと共演している。97年の『木漏れ日の中で』でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞、オスカーにもノミネートされたが同年の受賞はジャック・ニコルソンだった。2019年8月16日死去。本作は遺作である。
アメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツで演劇を学び、70年代前半にブロードウェイデビュー。その後映画にも出演し始める。舞台を見たロバート・デ・ニーロの目に留まり、次回作へと声をかけられる。それが、マイケル・チミノの傑作でアカデミー賞®作品賞受賞の『ディア・ハンター』(78)である。他には、ミロス・フォアマン監督の『ヘアー』(79)、オリバー・ストーン監督の『サルバドル/遥かなる日々』(86)、『ゴッドファーザー PART Ⅲ』(90)、『シン・レッド・ライン』(98)などがある。堺雅人主演の日本映画『日輪の遺産』(11)にマッカーサー役で出演している。
ロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマティック・アートで演技を学ぶ。スティーヴン・スピルバーグ監督作『戦火の馬』(11)で主演として映画デビューを果たし注目を浴びる。メソッドアクターとして知られており、コリン・ファース主演の『レイルウェイ 運命の旅路』では2か月間で13kg体重を落とし拷問シーンを演じた。ほかには『17歳のエンディングノート』(12)、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』(18)、『博士と狂人』(19)などに出演している。
57年から女優としてテレビで活躍。最初の夫はブルース・ダーンで、娘ローラ・ダーンは女優として活躍している。『華麗なる週末』(69)、『チャイナタウン』(74)などに出演して高い演技力を見せると、『アリスの恋』(74)、『ワイルド・アット・ハート』(90)、『ランブリング・ローズ』(91)でアカデミー賞®助演女優賞にノミネートされた。
ウィスコンシンのマーケット大学で哲学を学ぶ。ウォルター・ヒル監督の『ストリート・オブ・ファイヤー』(84)で注目を集め、『燃えてふたたび』(85)ではアカデミー賞®助演女優賞にノミネート。『フィールド・オブ・ドリームス』(89)ではケビン・コスナーの相手役を演じ好評を博す。『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)で共演したエド・ハリスと結婚し、娘が1人いる。
2007年にアーティスト名ファイン・フレンジーで歌手としてデビュー。映画では『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(16)でクイニー・ゴールドスタイン役に抜擢され日本でも知られるようになる。ほか出演作は、その続編『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18)で、第3作にも出演予定。
11歳から子役としてテレビで活躍。『司祭』(94)でゲイの司祭を演じて知られるようになる。『鳩の翼』(97)ではヘレナ・ボナム=カーターの相手役を演じ好評を得る。そのほかの出演作は、ブルース・ウィリス主演の『ジャスティス』(02)、『バットマン ビギンズ』(05)、『フライト・ゲーム』(14)など。
64年に海兵隊に入隊し、ベトナムへ派遣され海兵隊報道員として軍務についた。84年に退役し、戦争映画でのリアルな兵士描写のための訓練を専門とする会社を設立。自身も軍人役として出演しており、『プラトーン』(86)でハリス大尉役を演じて以降、『7月4日に生まれて』(89)、『プライベート・ライアン』(98)などに出演している。
ウェズリアン大学で演技を学ぶ。アーロン・ソーキンが脚本を務めたテレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」(99-06)に出演し、2001年にはエミー賞助演男優賞を受賞した。映画では『ゲット・アウト』(17)で狂気の父親を演じたほか、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)などに出演している。
STAFF
ロビンソンの長編映画は、エド・ハリスとデヴィッド・ドゥガヴニーが主演する冷戦下の潜水艦スリラー『ファントム/開戦前夜』(13)からも明らかなように、大規模な劇場展開を目指すアクションとして設定され、人間の極限状態での決断を探求することが良くある。
ロビンソンは最近、ピエトロ・スカリアの監督デビューとして企画された歴史叙事詩である「LEWIS AND CLARK」を完成させた。さらに、彼はアナソフィア・ロブ主演の同名古典小説の映画化「BLOODY JACK」の監督に挙げられている。ロビンソンはまた、ジョン・トラボルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、サルマ・ハエック、ジャレッド・レト、ローラ・ダーン主演の長編映画ノワール・スリラー『ロンリーハート』(06)を執筆し、監督した。
ロビンソンは、ジェフ・ブリッジス主演の『白い嵐』(96)を執筆および制作することからキャリアをスタートさせ、WorldFestの最優秀脚本部門で特別審査員大賞を獲得した。彼はまた、コロンビア/トライスターのためにマイケル・ベイが監督した『バッドボーイズ2バッド』(03)の執筆にも貢献している。CREDIT
出演:セバスチャン・スタン、クリストファー・プラマー、ウィリアム・ハート、ピーター・フォンダ、
ジェレミー・アーヴァイン、ダイアン・ラッド、エイミー・マディガン、アリソン・スドル、ジョン・サヴェージ、ライナス・ローチ、
with エド・ハリス、and サミュエル・L・ジャクソン
2019年/アメリカ/英語/カラー/116分/原題:The Last Full Measure 字幕翻訳:岡田壮平 配給:彩プロ © 2019 LFM DISTRIBUTION, LLC